好きな詩です。
以前ここのブログに載せた覚えがある。
もう一度読み返そう。
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020372.html2004.3.14
走る者たちに捧げる
みんなが世界の涯に向う時
私は泥酔していたの
だから私一人とりのこされた
とても辛くて悲しかったわ。
だけど、だから生き残ったの
生きる幸せと死ぬ幸せ、どちらが幸せなのかしら?
酔っているからわからないわ
でもホントは水を飲んで酔ったフリをしていただけなの
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
となりで走っていたレミングに
なぜ走るのかって聞いてみたわ
「みんなが走っているからに決まっているじゃない!」
わたしがみんなと走っていたとき
となりで走っていたレミングに聞いてみたの
どこに向って走っているのって
「みんなが向っている方に決まっているじゃない!」
───────────
なぜ走ったのかって?
みんなが走っているからよ
みんなが走っているから
わたしも走る
みんなが走っているから
わたしも走らなればならない
みんなが走っているから
わたしも走りたい
でも わからないことが
ひとつだけあるの
最初に走りはじめたレミングは
誰なのかしら?
最初に走りはじめたレミングは
なぜ走りはじめたのかしら?
もしかしたら
最初に走り始めたレミングは
いまごろ家でゆっくり
酒でも飲んでいるのかもね
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
みんなは安心していたの
みんなといっしょに走っているということに
みんなは安心していたの
わたしもみんなと走っていたとき
なにも不安は無かったわ
とても安心だと思えたの
とても安全だと感じたわ
でも 不安がないことに不安を感じたの
完全な安心とか完全な安全って
ほんとに安心安全なのかしら
不安がないことに不安を感じていたれど
わたしは走り続けたの
その不安も無くなるんじゃないかと思って走ったの
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
まえを走っていた一匹のレミングが
俺が一番走るのが早いと叫んでいたわ
そしたらとなりで走っていたレミングが
俺の方が走るのが早いと叫んで
猛烈に走り始めたの
みんなが 俺の方が走るのが早い
俺が早い いや俺の方だと競争になったわ
みんなの走る速さは
どんどんどんどん早くなっていったの
どんどんどんどん早くなっていったの
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
一匹の老いたレミングが少しずつ
走っているみんなから遅れはじめたの
老いたレミングのことを
レミングたちはノロマと罵ったわ
そしたらもう一匹のレミングもノロマと罵ったの
そしてみんなが老いたレミングを見て
ノロマノロマと叫びはじめたわ
ノロマノロマと叫びながらみんなは走っていたの
老いたレミングは少しずつ少しずつ遅れて
すこしずつ集団から離れて
いつのまにか消えていなくなったの
みんなは老いたレミングがいなくなったことをとても喜んでいたわ
みんなは走りながら
ノロマが死んだよ万歳と叫びながら
走りつづけたの
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
マエを走っていた若い一匹のレミングが
とつぜんウシロを振り向いたの
マエを走っていた若い一匹のレミングは
ウシロを見てとても驚いていたわ
マエを走っていた若い一匹のレミングは
ウシロを振り向きながら走っていたから
足もとの小石につまずいて転んだの
みんな マエに向って必死で走っていたから
転んだ若いレミングに気がつかなかったの
若いレミングは走っていたレミングたちに
踏みつぶされて死んだわ
マエだけを見て走っていたみんなは
ウシロをふりむいたレミングの自業自得だと叫んでいたわ
自業自得だ前を見ろ
死にたくなれば前を見ろ
かしこいレミングは前を見ろ
死にたくなれば前を見ろ
若いレミングは
なぜウシロを振り向いたのかしら?
若いレミングはウシロを見たとき
なぜ驚いていたのかしら?
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
いっしょに走っていたレミングが
このまま走れば空だって飛べる
って言っていたわ
そして走っていたレミングたちはみんな
このまま走れば空を飛べると信じていたの
羽も無いのになぜ空を飛べるのかしら?
レミングが空を飛べるわけないじゃない!
そう思ったけれどその疑問はとても言えない雰囲気だったわ
だってみんな空を飛べると信じて走っていたんですもの
もし疑ったらいままで走ってきたことが
ムダになってしまうじゃない
ほんとはみんな誰も
空を飛べるだなんて信じていなかったの
それでもみんなは走ったの
ホントはいままで走ってきたことがムダになることが怖いから
空だって飛べるだなんて言っていたのかもしれない
───────────
わたしがみんなと走っていたとき
大きな海の波の音が聞えてきたの
ざぶーん どどーん
それはとても大きな海の波の音だったわ
ざぶーん どどーん
ざぶーん どどーん
そうしたら先頭を走っていたレミングが
空だ!飛ぶぞ!飛ぶぞ!
と叫んだの
そして走っていたみんなも
空だ!飛ぶぞ!飛ぶぞ!
と叫んだわ
空だ!飛ぶぞ!飛ぶぞ!
の大合唱になって
みんなは走りつづけたの
そしてレミングたちはほんとうに空を飛んだの
高い高い崖から飛んだの
空を飛んで海と空が一つになったわ
ざぶーん どどーん
それから・・・
そして・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
───────────
「お母さん? どうしたの?」
私は子どもに揺り動かされて眠りから覚めた。
「・・・・あ、ごめんなさい。ちょっと寝ちゃったわ」
「・・・・・」
「どうしたの?」
「あのね、さっき海岸に行ったの」
「海岸? あの崖のあるところ?」
「うん。海にね、
海にいっぱい、レミングの死体が浮かんでいたよ」
私は子どもを抱きしめて言った。
「大丈夫。
あなたはレミングじゃないわ。
レミングたちは空を飛びたかったの。
でもそれがレミングたちにとって本当の幸せかはわからない。
わたしたちは人間だから、
ひとりひとりが違う道を行くの。
あなたもあなたの道を行くのよ。
立ち止まっても、
引き返して別な道を歩いてもかまわないの。
あなたの道はあなた自身で決めるの。
それがあなたの人生。
それがあなたの幸せなのよ」
子どもはうなづいてそっと私を抱きしめた。
私も
日本人はこの集団ヒステリーに弱い。
自分を振り返ってみることをしない。
誰かがやっているから…でもそれが正しいかどうかはわからない。
日本人のための警告ですね。
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